褥瘡の分類を知ろう:DTIとは?

褥瘡とひと口にいっても、外傷として目に見える状態のものばかりではありません。時には本人はもちろん、医師であっても褥瘡であると判断することが難しい状態があります。しかし、判断が難しいからといって、経過観察としてしまうと、症状が急変したり、重症化したりする可能性もあり、安易な判断は禁物です。こうした症状はDTIである確率が高いのですが、そもそもDTIとはどういったものなのでしょう? 今回はDTIについて、その発生原因、発見、治療方法について確認していきましょう。

DTIとは?

DTIとは、deep tissue injuryの略で日本語では、深部組織損傷と呼ばれているものです。具体的には、圧力やずれなどにより、体の深部で軟部組織の損傷が引き起こされている状態を表すものです。しかし、体の表面では皮膚が紫や茶褐色に変色、もしくは血疱のみを形成しているだけの褥瘡のため、見た目には明らかに損傷があるかどうかの判断が困難です。症状としては、周囲と比較して疼痛、硬結、ぶよぶよとした感触、熱感、冷感などがあります。

褥瘡の重症度は一般的に「深さ(深達度)」によって分類します。そのなかでも現在、もっとも多く利用されているのが、米国褥瘡諮問委員会(NPUAP)が提唱するステージ分類です。このステージ分類はIからIVの4つとそれに含まれない2つ(分類不能、深部組織損傷疑い)の計6つに分類されていますが、DTIは4つのステージに含まれないうちの1つ(深部組織損傷疑い)です。

DTIが発生する原因

DTIが発生する原因を知るには、まず褥瘡が発生する原因を知る必要があります。そもそも褥瘡の発生は、寝ている間に何らかの理由で体位変換ができないことが原因で起こるものです。体位変換ができず、長時間に渡り体の同じ部位に圧力が加わることで、その部分の血流が滞り、皮膚の細胞に酸素や栄養が十分に行き渡らなくなることで、褥瘡が発生します。

一般的に褥瘡が発生すると、皮膚の一部が赤い色味を帯びる、ただれる、傷ができるといった症状が出ますが、前項でもご説明したように、DTIの場合は、そうしたはっきりとした症状が出ません。その理由はいくつか考えられますが、そのなかでも大きいのは、体型にあります。具体的には褥瘡がよく発生する部位である、臀部周りの筋肉、いわゆる殿筋が発達している場合が多いようです。また、脂肪組織が発達している場合もDTIが発生する要因となります。

DTIを発見するには

はっきりとした症状が出ないこともあり発見が難しいDTI。しかし、そのままの状態で放置してしまうと、症状が急変し重症化してしまう可能性も少なくありません。患者はただでさえ、病気や慣れない療養生活で不安を抱えています。それに褥瘡の不安が加われば、より大きな負担を抱えることになってしまうでしょう。そこで重要なのは、できる限り早期発見をし、重症化してしまう前に的確なケアをすることです。では、DTIを早期発見するにはどうすればよいのか、その方法についてご説明します。

①  傾聴:DTIの早期発見方法の1つは、患者が訴える痛みに耳を傾け、都度、視診や触診を行うことです。DTIの症状として、周囲と比較して疼痛、硬結、ぶよぶよとした感触、熱感、冷感などがあると説明しましたが、医師が視診や触診することでDTIの発見をします。

②  診察+検査:しかし、DTIは、体の表面に現れにくい深部の軟部組織の損傷です。そのため、視診や触診だけでは判断ができないことも多く、明確な判断をするにはより客観的な方法が必要です。それが、2つめの早期発見方法、画像診断装置(CT、MRI、超音波画像診断(エコー))を使った診断です。この方法であれば、視診や触診ではわからない深部まで確認し、明確な判断が可能になります。

まず、視診や触診を行う。そして、少しでも違和感があれば、画像診断装置を使い客観的に診断を行うことが、DTIの早期発見につながるといえるでしょう。

DTIの早期発見、ケアを怠らないことが病気の早期改善につながる

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褥瘡は本来、治療をしている病気とは別に発生する症状です。そのため褥瘡ができてしまうことで不快な状態がつづくと生活の質は悪化し、それが本来の治療や療養生活にも大きく影響します。そうした意味でも、褥瘡ケアや予防は療養生活の質の向上、本来の病気の早期改善に欠かせないものといえるでしょう。

特にDTIのように日常的な褥瘡観察を行うだけでは見のがしてしまう可能性のある症状には注意が必要です。その存在を理解していたとしても発見が困難なため、もし十分な理解がなければ発見することはままならず、気がついたら感染が進行し重症化しているといったことにもなりかねません。

そうならないために重要なポイントは、DTIの存在を理解すること。そして、患者の声にしっかりと耳を傾け、視診や触診を怠らないことです。患者の様子を常に観察し、少しでもDTIが疑われる兆候があればすぐに画像診断装置を使った診断を行えば、早期発見につながり治療方針も明確になります。

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