DESIGN-R®(デザインアール)とは

2002年に診療報酬で初めてのペナルティシステムが実施されました。それが「褥瘡対策未実施減算」です。簡単にいえば、褥瘡を予防するための医療的措置が取られていない場合に医療報酬を減算するというものです。このシステムが実施されて以降、各医療施設では褥瘡医療に対する取組が本格化したといえます。ここはそうした背景を知ったうえで、DESIGN-R®(デザインアール)について確認していきましょう。

DESIGNは、褥瘡を評価するための共通基準

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海外ではどのように褥瘡の評価を行っているのでしょうか。米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel)が提唱するのは、褥瘡の重症度を「深さ(深達度)」で分類する方法です。ステージ1の「消退しない発赤」からステージ4の「全層組織欠損」までの4段階。また、そのほかにアメリカ向けのカテゴリとして、「分類不能:皮膚または組織の全層欠損―深さ不明」と「深部組織損傷疑い(suspected DTI)―深さ不明」の2つがあります。これは、2009年に欧州褥瘡諮問委員会(European Pressure Ulcer Advisory Panel)と共同でカテゴリ分類を発表し、国際的にも使用されている評価方法です。

褥瘡の重症度は一般的に上述したような「深さ(深達度)」によって分類されます。これ以外にもShea、Daniel、Campbell、IAETといった分類法がありますが、すべて「深さ(深達度)」によるものです。しかし、これらの評価方法は日本の褥瘡対策にうまく適合せず、独自の評価方法が求められていました。そこで、日本褥瘡学会学術教育委員会が2002年に開発したのが、DESIGNです。

DESIGNの分類

DESIGNとは、「深さ(Depth)」「滲出液(Exudate)」「大きさ(Size)」「炎症や感染(Inflammation/Infection)」「肉芽組織(Granulation tissue)」「壊死組織(Necrotic tissue)」のそれぞれ頭文字を取ったもので、具体的な分類方法は次の通りです。

深さ(Depth)

前項でも触れた「深さ(深達度)」による分類です。創内の一番深い部分で判定。真皮層と同等の肉芽組織が形成されている場合も含め、真皮全層の損傷までを「d」。皮下組織を超えた損傷を「D」とします。また、壊死組織のため、深さが判定できない場合も「D」の範疇に含まれます。

滲出液(Exudate)

ドレッシングを交換した回数で判定。1日1回以下の交換であれば「e」。1日2回以上の交換であれば「E」とします。ただし、ドレッシング材料の種類は詳しく限定しないものとします。

大きさ(Size)

褥瘡の大きさによって判定。褥瘡の皮膚損傷部の長径と短径(長径と直交する最大径)を測定、それぞれを掛けた数値が100(cm)未満であれば「s」。100(cm)以上であれば「S」とします。ちなみに持続する発赤の場合も皮膚損傷に準じて評価されます。

炎症や感染(Inflammation/Infection)

褥瘡局所部分に感染や炎症の兆候があるかどうかで判定。感染兆候がなければ「i」。あれば「I」とします。

肉芽組織(Granulation tissue)

良性肉芽の割合を測定することで判定。良性肉芽の割合が50%以上であれば「g」。50%未満であれば「G」とします。ただし、良性肉芽とは、鮮紅色を呈する肉芽を表現するものであり、必ずしも病理組織学的所見とは限りません。また、真皮までだけの損傷時の場合、自動的に「g」と判定されます。

壊死組織(Necrotic tissue)

壊死組織があるかないかで判定。壊死組織がなければ「n」。あれば「N」とします。ただし、壊死組織の種類は問いません。

この6つの分類法のほか、ポケット(Pocket)という分類があります。これは、ポケットの存在があるかどうかでの判定で、もし存在する場合は、DESIGNの後に「-P」と記述します。

これらの判定基準から、例えば「大きさ」「炎症や感染」が重度、ほかが軽度でポケットがある場合、「deSIgn-P」と表記されます。

DESIGNとDESIGN-R®の違い

褥瘡状態判定スケールが学問的に評価されるためには、ツールの信頼性および妥当性が必須です。しかし、2002年に開発されたDESIGNには患者間の重傷度比較という視点は盛り込まれていませんでした。そこで、2008年、褥瘡を評価するだけでなく、重症度を予測できるように経過評価用のツールとしてつくられたのがDESIGN-Rです。これにより、医療者にとってはケアの評価指標になり、患者や介護者にとっては自分の現状を知り、先の見通しが立つようになるといったメリットが生まれました。「R」とは「Rating」の頭文字で、最新版は2013年に示されています。具体的な点数は次の通りです。

深さ(Depth)

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滲出液(Exudate)

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大きさ(Size)

※数字は直径(cm)×直径と直交する最大径(cm)

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炎症や感染(Inflammation/Infection)

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肉芽組織(Granulation tissue)

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壊死組織(Necrotic tissue)

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ポケット(Pocket)

※数字は毎回同じ体位で、潰瘍面含めたポケット全周(直径(cm)×直径と直交する最大径(cm))から潰瘍の大きさを差し引いたもの

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注意すべき点は深さ(Depth)です。この項目は創の状態を評価するものであり、重症度の改善目安ではありません。そのため、合計点数には含みません。入院患者の経過評価をする際は、必ず「深さ」を除いた合計点数で評価するようにしましょう。

褥瘡のケアと予防はDESIGNを理解し、適切な対処をすること

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DESIGNもしくはDESIGN-R®が開発され、褥瘡を評価するための共通基準ができたことは、褥瘡のある入院患者のケア、予防を行ううえで大きな進歩となりました。しかし、点数だけで判断するのでなく、DESIGNとDESIGN-R®を理解したうえで、褥瘡のある入院患者一人ひとりと向き合うことが重要です。

褥瘡ケアの出発点は、症状を客観的に分析、原因を解明したうえで適切に対処すること。そして、予防の出発点は、原因を分析的に理解し、原因となるものを解消することです。そして、その道しるべとなるものが、DESIGNでありDESIGN-R®なのです。 

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