介護の現場を充実させる見守りカメラという第三の視点

2019.11.05

  • 介護のデジタル化
#基礎知識
介護の現場を充実させる見守りカメラという第三の視点

慢性的な人手不足にある介護現場においても、細かな対応、臨機応変な判断は必要です。しかし、少ない人数でのサービスの質の維持には無理が生じ、事故につながる危険性を拡大させます。また、施設に要介護者である家族を預けている家族にとって、どのようにケアを受けているのかを知りたいと思う気持ちもあります。介護施設の職員による虐待のニュースなどが報道されると、その思いを強くする家族は少なくないでしょう。

あるいは、居宅介護の場合でも、家族が24時間365日、要介護者に付き添うことは現実的ではありません。

そうした状況が抱える問題への対策の一つとして活用できるのが見守りカメラです。

介護向けの見守りカメラ・見守りシステムとは

要介護者が日常的に過ごす室内に設置し、要介護者の様子を映像と音声で記録することができる装置を見守りカメラと呼んでいます。システムは防犯カメラや監視カメラと同様のものですが、種類によってさまざまな機能が付いています。

①ひとり歩き(徘徊)抑制機能のある見守りカメラの例

画像と音声によって要介護者の動きを把握するためのものです。

  • 機能:検知機能、お知らせ機能、声かけ機能など
  • 利用方法:見守りたい動作を事前に登録します。例えば認知症の周辺症状が発現し、一人で出歩く行動を起こす可能性のある要介護者を見守りたい場合、出入り口の出入りを動作として登録しておきます。また検知した情報を伝える連絡先(モバイル端末のメールなど)を登録しておきます。

見守りカメラを出入り口が映る位置に設置します。

登録動作が検知されると検知した録画像が送信されます。

また、離れた場所から見守りカメラを通して会話をすることが可能です。

②離床予知センサの例

転倒リスクを低減するために開発されたセンサタイプのものです。

  • 機能:ベッドからの動き出し、起き上がり、端座位、離床を検知し、通知します。
  • 利用方法:ベッドの脚にセンサを取り付けます。

要介護者が動き出したとき、起き上がったとき、端座位に座ったとき、離床時に介護者に情報が通知されます。

また、要介護者の状況に応じて、離床時間を設定しておくと、設定時間を超えた離床が確認された場合に通知されます。

ベッドを中心に生活をしている要介護者の生活リズムやバイタル情報を蓄積することができます

介護支援補助金対象・介護保険適用の見守りカメラもある

居宅介護で家族が見守りカメラを設置しておきたいと考えた場合、介護保険適用のものもありますので、ケアマネージャーは、介護度や必要性などを判断する必要があります。その後、介護保険が使え、例えば認知症老人徘徊感知機器としてレンタル福祉用具としてレンタルするための手続きを行います。

見守りカメラ導入における注意点

見守りカメラは、介護施設の介護環境やどのような介護が提供されているのかを家族に伝えるためにも、また要介護者の安全を守るためにも有効活用が見込めます。しかし、導入し、使用するには事前に意識しておくべき注意点があります。

プライバシー問題への対策

要介護者にとってより安全で快適なサービスを提供するための見守りカメラであるとはいえ、要介護者の生活や行動を介護者が監視するということになりますから、要介護者本人からも家族からも拒否される可能性はあります。

また、要介護者やその家族に見守りカメラの設置や、設置する目的、どのように使うのかなどをきちんと説明ができないと、後々トラブルを引きおこす原因にもなります。

まずは、施設・事業所内で次のポイントは決めておきましょう。

  • 目的:なぜ見守りカメラを設置するのか。
  • 設置意義:見守りカメラを設置すると、どのような効果が期待できるのか。例えば、介護者と要介護者のトラブルを防ぐことになる、徘徊を防ぐことにつながる、ベッドからの転倒などを防ぐことにつながる、など。
  • 運用の仕方:どこに設置し、どのような見守りがなされ、データはどのように使われ、保存期間、保存期間以後はどのように処理されるか。
  • 管理方法:見守りカメラによって得られたデータはどのように保存されるのか、閲覧できる関係者の範囲。
  • 責任者:見守りカメラ設置から運用に関する責任者

また、見守りカメラの映像や音声を保存する際は、セキュリティー対策を万全にし、情報漏えいなどが起こらないよう、セキュリティーシステムの導入などが必要です。

そして、入所時に見守りカメラ設置の目的と利用方法について説明する必要があります。同意書を作成しておくことも大切です。

専門企業の選び方

介護施設で見守りカメラおよび防犯カメラを設置し、運用するにあたって、機器やシステムの導入をサポートしてくれる専門企業があります。

サービス付き高齢者住宅や特別養護老人ホーム、グループホーム、小規模クリニックなどさまざまな施設への導入事例があるところも多く、規模や目的によってどのような機器とシステムを活用すればよいのか、などの相談にも対応してくれます。

また、多くの専門企業では、設置施設・事業所に適した機器やシステムの組み合わせプランが用意されているので、価格も予算にあわせて相談しやすいでしょう。

見守りカメラの設置を検討しはじめた段階で、まずは専門企業のアドバイスを受けてみるのが最適解への近道となるでしょう。

生活基盤のある地域で、安全で安心して生活できる環境の構築が重要

介護のあるべき姿、それは、誰もがその人らしい生活を維持し、生活基盤のある地域で安全に、安心して生活できる環境、サービスの提供です。それを確保するためには、例えば要介護者の行動を把握し、事故やケガを起こす前に予防できる対策を講じるだけではなく、要介護者と介護者の関係性を健全に保つことも考えなくてはなりません。

残念なことですが、介護者から虐待を受ける要介護者のいることは、ニュースで何度も取り上げられています。もちろん問題を起こした介護者個人の問題ではありますが、そうした行動に至らしめた環境があったことも認識しておく必要があります。

そうした視点からも第三者の目、つまり見守りカメラの設置は有効な手段の一つだといえます。

しかし、見守りカメラの運用には、守られなくてはならないルールがあります。事前に運用ルールを策定し、施設・事業所内で共通認識を持ったうえで、導入を検討しなければなりません。

また、要介護者とその家族からも同意を得て、納得してもらう必要もあります。そうした手順を踏み、安全、安心に生活できる環境を構築するようにしましょう。 

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