コロナ禍での感染対策に配慮したポジショニングピロー「バナナフィット」

2022.09.09

  • 床ずれケア
#製品活用事例 #オピニオンリーダーインタビュー
コロナ禍での感染対策に配慮したポジショニングピロー「バナナフィット」

コロナ禍が終息しない中、医療現場では感染対策に神経をとがらせながら患者さんに接する状況が続いています。大阪赤十字病院(大阪府大阪市)では、ポジショニング用品の消毒方法に頭を悩ませた末、「バナナフィット」(パラマウントベッド社)を導入しました。同院で働く皮膚・排泄ケア認定看護師の安藤嘉子さんに、本製品の導入経緯やメンテナンス状況、褥瘡予防の方法などを伺いました。

【お話を伺った方】

安藤嘉子 様(大阪赤十字病院 皮膚・排泄ケア認定看護師)

次亜塩素酸ナトリウムでの消毒が可能

――まずは、貴院の特徴と地域で果たしている役割を教えてください。

当院は1909年に「日本赤十字社大阪支部病院」として設立され、1世紀以上の歴史の変遷を経て、36の診療科と909床を擁するまでになりました。救急指定病院、地域がん診療連携拠点病院、災害拠点病院といった機能を持ち、大規模災害発生時には災害派遣医療チーム(DMAT)を全国各地に出動させる大阪DMATの指定医療機関にもなっています。

大阪赤十字病院

コロナ禍においては、発熱外来、救急外来、PCR検査、他の医療機関からの入院患者さんの受け入れなど、大阪府の要請に応じながら多数の入院の受け入れを行っています。それに伴い、院内の感染対策は一変しました。特に新型コロナウイルス感染症(以後「コロナ」と表記)の流行当初はウイルスの実態がつかめていなかったので、個人防護具の着用や消毒の徹底など厳戒態勢を敷きました。受け入れる病床数や患者層はその時期の感染状況により異なりますが、最近では重症感染者と基礎疾患による重症リスクの高い方が入院対象になっています。コロナ対応を要する患者さんの半数以上は体位変換や褥瘡予防を必要としていて、ポジショニング用品の出番がとても多い状況です。

――貴院で「バナナフィット」を導入したきっかけを教えてください。

コロナ禍になる前は、患者さんに使用したポジショニング用品は委託クリーニングに出して100度以上の熱水洗浄による消毒をしていました。しかし、コロナに対しても同じメンテナンス法で大丈夫という確証はありませんでした。そこで、安全を最優先に考え、当院は日本リネンサプライ協会が推奨する消毒法(次亜塩素酸ナトリウムで消毒した後にクリーニング)を実践することにしました。ところが、院内で使用していた従来のポジショニング用品は、次亜塩素酸ナトリウムに耐える仕様ではありませんでした。メーカーに確認したところ中身のウレタンチップが劣化し、体圧分散の効果が減弱するとわかりました。

一方、「バナナフィット」は次亜塩素酸ナトリウムへの耐性があり、本体は浸漬しての消毒が可能で、カバーは清拭による消毒ができます。コロナ禍を迎えて院内の消毒法を全体的に見直した際、この点が大きな訴求ポイントとなり、導入に至ったわけです。

バナナフィット本体カバーを装着したバナナフィット
バナナフィット本体カバーを装着したバナナフィット

――別の製品も候補に挙がっていたそうですね。

コロナ禍になって、あるメーカーから使い捨てできるタイプのポジショニングピローも候補に挙がっていました。使った後はそのまま捨てるだけなので、そもそも消毒が不要になります。コスト的に想定の範囲内だったこともあり、運用しやすい印象でした。しかし、丸ごと捨てるとなると廃棄時にかさばる上、環境上の観点からも使い捨てするという選択肢はできるだけ避けたい思いがありました。

一方、「バナナフィット」は、体位保持がしやすく、クッション性に優れているだけでなく、「メンテナンス付きのレンタルを実施している」という点でも、とても魅力的でした。コロナ禍前に中央管理を検討した際に情報を得ていました。結局のところ、当時はまだ一般的な感染対策で問題ない時期だったこともあり、導入は先送りとなりましたが、褥瘡担当者として「いつかは……」という思いをずっと秘めていました。コロナ禍で特別な感染対策が必要になったこのタイミングで、「もう、これしかない!」とまずは購入から始めました。

各病棟の器材庫に配備された「バナナフィット」
各病棟の器材庫に配備された「バナナフィット」

使用後に必要なのはカバーの交換だけ

――「バナナフィット」導入後、ポジショニング用品のメンテナンスはどう変わりましたか。

従来はポジショニング用品にカバーを付けて使うこと自体がNGだったので、カバーを付けずに本体を使った後、そのまま委託クリーニングに出すのが通常のメンテナンス方法でした。カバーを付けずに使っていた理由は、カバーがずれたりしわになったりすることで褥瘡リスクが上がってしまうからです。また、カバーを付けずに使う前提で患者さんの体が滑らないように設計されていたからです。

一方、「バナナフィット」は滑らず、また伸縮性のあるカバーを付けて使うことができる仕様なので、新しいカバーに替えるだけで、すぐに次の患者さんに使うことができます。コロナ患者に使用して外したカバーは、院内で次亜塩素酸ナトリウムに浸けた後、委託クリーニング(熱水洗浄)に出しています。本体の汚染が強い場合はカバーと同じ流れで消毒しています。ただし、カバーの撥水性、防水性が非常に高いので、本体が汚れることはめったにありません。基本的にはカバーの交換だけで済むので、洗濯に出している間のポジショニングピローの不足がなくなりました。

加えて、感染の可能性がある物品を委託先に預ける機会が減ると、委託先の配送や洗濯に従事する方々の感染リスクを抑え、安全を確保することにもつながります。ささいなことに思えるかもしれませんが、感染の拡大を防ぐこと、生命を守ることにつながる重要なポイントだと感じています。

ポジショニングに要する時間・人数を削減

――どのような場面で「バナナフィット」を活用していますか。

通常のポジショニング用品と同じように、褥瘡リスクが高い患者さんに使っています。小さくランダムにカットされたウレタンフォームを使用しているので、患者さんを支えたときも型崩れしにくい上、異なるサイズや形状のものを組み合わせて使えばさまざまなポジションに対応可能です。

小さくランダムにカットされたウレタンフォーム
小さくランダムにカットされたウレタンフォーム

例えば、ICUにいる患者さんの場合は、複数の点滴ルートやドレーンの管が絡まったり引っ張られたりすると危険なので、長い一体型のピローよりも分割して複数組み合わせて使っています。一般病棟の場合は、大きめのピローを使って体幹をしっかりと支えるようにしています。治療を妨げることなく状況に合わせて適切な体圧分散ができるので、とても重宝しています。

ICU:リスク軽減のために、分割して複数組み合わせて使用①
ICU:リスク軽減のために、分割して複数組み合わせて使用①
ICU:リスク軽減のために、分割して複数組み合わせて使用➁
ICU:リスク軽減のために、分割して複数組み合わせて使用➁

――「バナナフィット」を導入して、ケアやリハビリテーションに変化はありましたか。

最も大きな変化は、ポジショニング時の負担が軽くなったことです。導入前は、体格の大きい患者さんの場合など、4人のスタッフを動員して体位変換することもあり、接触感染のリスクを考えると常にヒヤヒヤしていました。もし、スタッフが1人でも感染し、周囲のスタッフが濃厚接触者に該当したら、病棟全体が回らなくなってしまいます。したがって、感染リスクを下げるため、接触時間の短縮や接触人数の最小化を目指した工夫が必要でした。また、個人防護具の数には限りがあるので、使用数を節約するという視点も忘れてはならないものでした。 

そこで、当院では「小さな体位変換」を積極的に取り入れました。北欧を中心に行われているこの方法は、日本でも徐々に広まりつつあります。小さなサイズのポジショニングピローを患者さんの体幹に沿っていくつか挿入し、その挿入位置を定期的に移動させることで、大きな体位変換を行わなくても体圧分散が可能になるというものです。患者さんの体を持ち上げたり移動させたりする工程がない分、介助に要する人員を4人から1人にまで減らすことができました。

小さな体位変換前
小さな体位変換前
小さな体位変換後
小さな体位変換後

ウィズ・コロナ、そしてポスト・コロナの時代でも安全な医療を提供していくためには、医療関係者が各自の役割を最大限に発揮することが欠かせません。例えば、メーカー各社は、感染対策や工学的な視点から患者さんにとって好ましい製品を開発しています。現場にいる私たちは、そのバトンを受け取り、製品を正しく使うことが使命の一つです。そして、感染対策とケアの質を高次元で両立させるためには、スタッフの知識や意識を高めるとともに、環境整備や仕組みづくりが必要です。皮膚・排泄ケア認定看護師として、褥瘡担当者として、私にできることを全うしていきたいと思っています。

ポジショニングピロー「バナナフィット」の詳細についてはこちら

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