頼れる全自動エアマットレス「ここちあ利楽flow」でケアの質も業務効率もアップ

2022.11.01

  • 床ずれケア
#製品活用事例 #オピニオンリーダーインタビュー
頼れる全自動エアマットレス「ここちあ利楽flow」でケアの質も業務効率もアップ

つがる総合病院(青森県五所川原市)は、長年にわたり使い続けてきたエアマットレスを一新して「ここちあ利楽flow」(パラマウントベッド社)を導入しました。慌ただしい日々の中で、更新に踏みきった理由はどこにあるのでしょうか。また、それにより現場の業務はどう変わっていったのでしょうか。同院で働く皮膚・排泄ケア認定看護師の松宮むつ子さんに伺いました。

【お話を伺った方】

つがる総合病院 皮膚・排泄ケア認定看護師 松宮むつ子 様

つがる総合病院 皮膚・排泄ケア認定看護師

松宮むつ子 様

ケアの質向上と看護師の負担軽減を期待してマットレス刷新

――まずは、貴院の特徴と地域で果たしている役割を教えてください。

当院は、自治体病院の機能再編・ネットワーク化を図るため、つがる西北五地域の中核病院として2014年に開設されました。22の診療科と2つのセンターを擁し、438床(一般390床、精神44床、感染症4床)の規模です。救急車による搬送受入件数は年間3000台を超えています。地域内の情報ネットワーク化により電子カルテを共有しており、患者さんの紹介・逆紹介も円滑に行っているところです。

つがる総合病院

――貴院で「ここちあ利楽flow」を導入したきっかけを教えてください。

当院では多くのエアマットレスを耐用年数に迫るほど使い続けていたので、新しいものに更新する必要がありました。そのタイミングをとらえて、より体圧分散性、利便性が高い製品に一新したいと考えたのです。本部の承諾を得てから製品の選定を始め、2021年に院内の約8割のエアマットレスを本製品に切り替えました。

本製品に注目した理由は、当院で使用しているベッドがパラマウントベッド社のものだったことに加え、創傷・褥瘡領域で著名な田中マキ子先生(山口県立大学 学長・副理事長)が本製品の有効な活用方法などについて講演でお話しされているのを聞き、ぜひ使ってみたいと思っていたからです。本製品には、スモールフロー機能(自動で体位変換できる機能)やバックサポート機能(背上げしたときに自動で姿勢保持をサポートする機能)といった最先端の技術が詰まっています。こうした機能を活用することで、今まで以上の安全・安楽の提供や、効果的な褥瘡対策が実現できると考えました。それと同時に、看護師の負担を軽減する可能性にも大きく期待しました。

ここちあ利楽flow
病室のベッドに設置されたここちあ利楽flow

――導入した大量のマットレスは、どのように管理していますか。

実態に見合う必要枚数を配分した上で、病棟ごとに管理しています。エアマットレスの使用ニーズが高い患者さん(日常生活自立度がC1およびC2)の人数と、実際に稼働しているマットレスの種類・枚数を褥瘡対策チームが把握して、必要数が行き渡るようにしました。

エアマットレスには、病棟ごとに通し番号を振ってあります。こうしておけば、故障やメンテナンスなどで外部に搬出したとき「〇病棟の〇番が出払っている」とすぐに分かります。また、患者さんがベッドごと他の病棟に移動しても、エアマットレスが行方不明にならず、きちんと元の病棟に戻るようになりました。ちなみに、通し番号はシールにして操作パネルの横に貼っています。マットレス自体に記すとシーツを敷いたときに見えづらくなりますが、この場所なら一目瞭然ですから。

通し番号シールを貼付した操作パネル
通し番号シールを貼付した操作パネル

「体が痛くない」「よく眠れた」――患者さんのうれしい変化続々

――実際に臨床で使ってみて、患者さんやスタッフの皆さんの反応はいかがですか。

院内のあちこちから患者さんのうれしい変化を聞いています。例えば、全身に苦痛があり「やめて、私に触らないで!」と訴えていた終末期の患者さんは、本製品を使い始めてから表情が穏やかになり、ケアへの抵抗もなくなりました。15分ごとに自動で体位が変わるスモールフロー機能を使うことで、苦痛を伴う従来の体位変換がなくなり、快適に過ごせるようになったことが大きいのだと思います。また、患者さんの気持ちを理解しながらも、褥瘡予防のためにやむなく体位変換を行っていたころと比べると、スタッフの心理的な負担がだいぶ軽くなりました。お互いにとってつらい時間がなくなり、心の距離感がギュッと近くなったようにも思います。

睡眠が改善されたというエピソードもあります。ある患者さんは脊髄損傷による麻痺があり、自力で体位変換できない方ですが、自宅とは異なる全自動のマットレスに驚きながらも「とてもよく眠れました」と笑顔で伝えてくださいました。また、夜中にナースコールすることを遠慮して体位変換を我慢しがちだった終末期の患者さんが、本製品を使うことでスタッフを呼ぶ必要性から解放され、ぐっすり眠れるようになりました。

スタッフからの評価も上々です。当初は新しい製品の導入に戸惑う声もありましたが、実際に使ってみると、評判は上々でした。例えば、上肢に水疱や皮膚の裂傷がある患者さんでは、皮膚の状態を悪化させないように極めて注意深く体位変換する必要があります。しかし、スモールフロー機能に任せられる部分が大きくなり、「これなら患者さんも私たちも快適です!」と本当にうれしそうでした。全身に浮腫があると体重がかなり重くなるので、体位変換する際のスタッフの身体的な負荷を軽減できたという点でも導入の成果を感じました。

――看護やリハビリテーションの業務効率の部分では、どのような変化がありましたか。

業務効率も大きくアップしたと思います。特にスタッフの受けが良かったのは、体重設定が不要なところです。かつての製品は体重設定が必須でしたが、自立度が低い患者さんは正確な体重が不明なまま来院することも多く、体重値を把握するのが一苦労でした。にもかかわらず、実際とは異なる値を設定してしまうと褥瘡リスクにつながりかねません。本製品はAI機能による自動設定なので、そうした労力やミスを減らすことができています。

また、電源コードを差し込むだけで急速起動する点も業務効率アップに一役買っています。以前は膨らみきるまでにかなり時間がかかっていましたが、本製品は約10分でスタンバイ完了と非常にスピーディーです。充填完了時刻の目途が付くため、ただ待っているだけの無駄な時間がなくなりました。たとえ10分とはいえ、その時間を他のケアに活用できれば大違いです。忙しい現場にとって、非常にありがたい機能だといえます。

理学療法士からは、リハビリテーションに取りかかるまでの時間を短縮できたという声を聞いています。本製品は、マットレス全体がかたくなるまでの時間が短いこともあり、患者さんの身体が早く安定するので、すぐにリハビリテーションができると高評価です。

褥瘡対策を通してコミュニケーションが活性化

――「ここちあ利楽flow」の導入にあたって、工夫した点があれば教えてください。

導入前はいくらかスタッフの不安があったので、あらかじめ各病棟での説明会や院内全体への動画配信を行いました。その際に意識したのは、本製品の機能がいかに優れているかを具体的に説明することと、患者さんやスタッフのためを思って導入するというメッセージを強く押し出すこと。パラマウントベッドさんが作成した解説動画をベースにしつつ、そうした当院独自の要素を冒頭に加えてカスタマイズすることを心がけました。

とりわけスモールフロー機能については、転落などにつながる不安要素も大きいと思われていたので、院内の医療安全対策室から助言をもらい、そこに特化した説明会や体験会を別途開催しました。その際、対象となる患者さんだけではなく使用禁忌の患者さん(せん妄がある方、人工呼吸器を使っている方、0~12歳の小児など)についても丁寧に伝えました。

体験会については、病棟一つひとつに出向いて実施し、操作方法の説明に加えて背上げの角度を見てもらったり、実際に寝てもらったりしました。その結果、「浮腫が強い方や体動が困難な方に使ってみたい」など、次々に使用イメージが浮かんだようでした。

――そのほか、貴院で取り組まれている褥瘡対策について教えてください。

例えば、スタッフの経験や知識量にかかわらず適切なマットレスが選べるように、ラミネート加工した選択チャートを各病棟に配布しています。「寝返りができる/できない」からスタートして矢印をたどっていくと、適切なマットレスが分かるという参考資料です。マットレスの名称や写真を盛り込むことで、視覚的にも分かりやすくしました。看護補助者と看護師が同じ理解をして体圧分散寝具を使用することができるケアの均質化に役立っています。

マットレス選択チャート イメージ
マットレス選択チャート イメージ

また、褥瘡対策チームからの情報発信もずいぶん浸透してきました。年に6回、一つのテーマに沿って動画やポスターなどを作成し、知識や技術の周知に努めてくれています。そのアイデア出しから完成に至るまでの作業をスタッフに一任することで、褥瘡対策に慣れているスタッフが不慣れなスタッフに歩み寄り、現場の課題を深掘りするよい機会になっているようです。スタッフ個々のみならず、褥瘡対策チーム全体としてのスキルアップにもつながっています。

院内に掲示された褥瘡対策チームのポスター
院内に掲示された褥瘡対策チームのポスター

これからも皮膚・排泄ケア認定看護師として、より良いケアを提供できるように心がけていきたいと思います。

エアマットレス「ここちあ利楽flow」の詳細についてはこちら

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