FIM(機能的自立度評価法)とは?

急な病気やケガでいったん身体機能が低下すると、機能回復には時間がかかります。また機能回復は段階的に進むものなので、その時に適切なリハビリ内容は変化するものです。そのため患者や利用者の動作能力(ADL)の変化を関わるスタッフ全員で共有できる評価基準が必要になります。 

FIMは、人の動作レベルを細かく評価し、適切な治療や訓練につながるように考えられたADL評価法です。機能回復の程度が分かりやすい点に特長があり、国内だけでなく世界の医療や介護分野で広く用いられています。 

FIM(機能的自立度評価法)の特徴 

FIMとは「Functional Independence Measure(機能的自立度評価法)」の略称です。1980年代、アメリカにてリハビリテーションに関する統一的なデーターベースとして開発されました。日本では1990年に紹介され、その後、慶應義塾大学リハビリテーション科が中心となって和訳対応が進められました。その結果、日本国内にも普及し、バーセルインデックスと並んでよく用いられるADL評価法になっています。

誰でもどんな状態でも評価することができる

FIMの特徴として、どのような状態でも評価できるという点があります。なぜならFIMはケガや病気によって低下した生活に必要な動作能力を評価するからです。またFIMは7歳以上であれば評価することができるようになっています。さらに7歳未満の小児にはWee‐FIMと呼ばれる方法も開発されています。

日常生活に最低限必要な機能に絞って評価

FIMは評価対象を一般的な生活に必要な最低限の動作・機能に絞っています。これはIADL(手段的日常動作)という観点からすると不十分だという指摘があります。しかし、病気やケガで入院して在宅復帰を目指す方に対しては効率的に評価できるという点で、FIMは有効なADL評価法です。

リハビリ専門職でなくても評価できる

FIMで評価する人は医師やリハビリ専門職である必要はありません。FIMの基準と指標を理解できれば看護師や介護士が評価をしても良いのです。むしろ看護師や介護士は患者や利用者の日常動作に接する機会が多いので、FIMの視点を用いて評価することは有意義なことだといえます。

FIMで評価する動作は「しているADL」

FIMで評価する動作は原則「しているADL」と呼ばれるもので行います。「しているADL」には「できるADL」という対象語があります。この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。

できるADL

リハビリ訓練時や、動作テストを実施するときに行っている動作能力を指します。この場合、患者や利用者は最大限の努力をしている可能性があります。

しているADL

病棟や家庭での日常生活で実際に行われている動作能力を指します。患者や利用者の意欲や志向が顕著に現れる傾向があります。

FIMがしているADLを重視する理由は、たとえリハビリ室で動作ができたとしても、退院や帰宅後にできなければリハビリの成果にはならないと考えるからです。したがってFIMでは改まって動作テストを実施するよりも、普段の生活での行動を観察し記録する方が適切な評価ができるといえます。

介護度の微妙な違いを細かく評価する

FIMがADL評価法として優れている点に、評価の段階付けが詳細であることが挙げられます。1つの項目において介護度に応じて7段階に分けて評価します。したがってFIMでは患者や利用者のADLにおいて足りない部分をより詳しく知ることができるのです。 

ADLの詳細が把握しやすいので、リハビリを行うときの強化すべきポイントが早く分かります。また、本人や家族に対する動作指導を適切に行うことができるのです。さらにFIMを時系列的に評価すれば、患者や利用者のわずかな改善を見落とすことが無くなります。

FIMの評価対象

FIMの評価対象は「運動能力」と「認知能力」の2つの大項目に分けられます。さらにそれらは中項目と小項目に分類されて、すべてが評価項目となります。

運動能力

運動能力では自宅で過ごすために必要なさまざまな動作について評価します。

セルフケア

自分の身の回りの動作全般を指します。

【小項目】食事、整容、清拭、更衣(上半身)、更衣(下半身)、トイレ

排泄

自身での排泄管理能力を評価します。

【小項目】排尿コントロール、排便コントロール

移乗

家庭内で起こるさまざまなシチュエーションを評価します。

【小項目】ベッド・椅子・車いす、トイレ、浴槽・シャワー

移動

移動に関する場面を想定して評価します。

【小項目】歩行・車いす、階段

認知能力

認知能力では自宅で過ごすために必要な視覚・聴覚や言語能力、そして社会的な適応能力について評価します。

コミュニケーション

他者との対話に必要な能力を評価します。

【小項目】理解(聴覚・視覚)、表出(音声・非音声

社会認識 

周辺環境への理解と適応する能力を評価します。

【小項目】社会的交流、問題解決、記憶

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FIMの採点基準

FIMで評価区分されている7つの項目は介助を必要とする程度だけでなく、監視の必要性やスピード、そして安全性においても評価することができます。FIMではそれぞれの項目で自立を7点満点としています。そして18項目すべてが自立で126点となり、すべてに全介助を要する場合18点になるのです。

FIMの各評価対象の判定基準

FIMにおける7段階の判定には以下の基準を元に行われています。

完全自立(7点)

介助者や手助けが全く必要としないレベル。

修正自立(6点)

介助者や手助けは不要。しかし時間を要し、また安全面で配慮が必要。また投薬や自助具、装具などが必要な場合も含まれる。

監視・準備(5点)

手助けは不要だが、介助者による監視や指示、もしくは準備や促しが必要。 

最小介助(4点)

介助者による手助けが必要。ただし動作(活動)全体のうち75%以上は自身の能力で行う。

中等度介助(3点)

介助者による手助けが必要。動作(活動)全体のうち50%~75%は自身で行うことができる。

最大介助(2点)

介助者による手助けが必要。動作(活動)作全体のうち25%~50%は自身で行うことができる。 

全介助(1点)

介助者による手助けが必要。動作(活動)全体のうち25%未満しか行うことができない。

 FIMは一見評価が細かすぎるように見えます。しかし、患者や利用者が機能回復する過程では介助量が徐々に変化していきます。したがって、患者や利用者の能力をリアルタイムに把握するにはFIMでの評価が適切だと言えます。

FIMは患者の回復度を表す指標にも使える

さらにFIMでは、評価を繰り返すことで時系列的に効果判定を行います。評価区分が細かいためわずかな動作の改善でも数値化できるというメリットがあります。

得点差で効果を示す(FIM-Gain利得)

退院時FIM総得点から入院時FIM総得点を引くことで得られる数値です。入院時のリハビリの成果を明確にすることができます。 

効率性で効果を示す(FIM-Efficiency効率)

さらにFIM-Gainを入院日数で割ることで、入院一日当たりの改善度を表すことができます。これによって患者の機能回復スピードを把握することができます。

FIMは慣れれば効果的なリハビリにつながる

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FIMは患者や利用者の能力を細かく評価し、時間を追った効果判定を容易にします。評価項目が多いため慣れるまでに時間を要しますが、スタッフで知識を共有できればより効果的なリハビリを提供することができます。また、リハビリの進展を妨げる必要以上な介助を防ぐことにもつながります。

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